第一歩

 

ここで、外国人絵手紙の

記念すべき初講座を行う。


ローマは一日にしてならず

 

浅草にある外国人ホテルのカファの一角で、

絵手紙講座のブースをもうけるも、

お客は0。

朝10時から夕方5時半まで粘ってみたが、

ダメだった。

 

原因はいろいろとある。

まず、ホテル客は、基本的に気ぜわしい。

チェックインしたら、休むなり、街に出ていきたい。

各々スケジュールもある。

大きなカバンを持ってチェックアウトする人は、

腰を落ち着けて絵なんか描く気はおこらない。

 

ただ、街に繰り出そうとする女性客2人組、

カップルは、展示していた絵手紙には興味を抱く。

「描きませんか?」と誘うと、

慌てて笑顔をつくり、「アービーバック(帰ってからね)」

と言って去っていった。

「アービーバック」って、映画のように言うんだと、

妙に感心する。

 

自分はかなり難易度の高いことをしていると気づく。

 

寅さんのように、客の気をひく口上がいる。

描かせる図柄も、もっと単純なのがいいかもしれない。

「富士山を描いて、ハッピーになりませんか?」

「赤富士描いたら、運気上昇!」とか。

 

暇なので、沢山の絵手紙をしかたなく自分で描いたが、

その絵手紙を売ったらどうかとも思う。

時間のない旅行者は、「お土産」なら心が動く。

浅草なら浅草の図柄、

ホテルの名物料理を描いてもいい。

一枚500円、開運絵手紙描くのも1枚500円、

とすれば、商売が動いてくるかもしれない。

 

 

 


きつい3

 

地下鉄のプラットホームで、

計10時間、線路に人が落っこちないように

見張った。むろん仕事である。

 

寝不足と単調な作業で、ぼーっとしてしまうことあり。

 

そんなときは、手あたり次第周囲を観察。

たまに、電車の上部、パンタグラフを

眺める。

 

電気、流れてんのか、

だたから電車っていうんだなと。

 

教えている発達障害児の男子なみに、

電車が詳しくなっていく…。


きつい2

 

駅警備の仕事を週に2回入れてから、

一気に時間がなくなる。

 

昨日は拘束時13時間で、

10時間も駅のホームに立ちんぼう。

白手袋をして、お客さんが

ホームに落っこちないよう

手を振り回す。

3時間の休憩時間があるが、

一日で疲れがピーク。

 

本日も同じ業務をやるため、

4時間しか眠れず。

 

遅刻するもんか、

という意識が強烈。

 


難解コルトレーン

 

初心者は聴いてはいけないという

ジョン・コルトレーンの『アセツション』。

 

とはいえ、「難解」なものは、

中身のびっしりつまった高級食材と似ている。

体調のいいときには、

大いにかみ砕きたくなるものだ。

 

https://www.youtube.com/watch?v=-81AEUqHPzU&t=1443s

 

 


「生」から「死」の間

 

劇場シアターXにて、友人と、

ノルウェー・グルソムヘテン劇団の

『ラスト・ソング』を観劇。

 

シュールレアリストが讃えた

作家ロートレアモン伯爵が、

死に直面したときの心象風景を描いた作品だ。

 

ひげをはやした、赤髪の、太った男おばさんが、

裸電球の薄暗い部屋で、ピーポープーと

うつろな音のオルガンを弾いている。

 

机にうつぶしたり、体を痙攣、また硬直する

分厚い生地のスーツを着たおじさんは、

目をむいてうめきながら、机の上に立ちあがり、

服を脱ぎ出したら、裸になってしまって、あらら

女性だった。

 

初老の紳士が、床をでんぐりがえりでんぐりがえりして、

転げまわって斜め体を硬直させて

動かない。

 

いったいこれは何だというのかと問えば、

友人は、ロートレアモンがどうも三つの性に分裂し、

そして統合したのだという。

 

男女、男→女、男の三人は、

うめき、苦しみ、もつれあい、うめき、痙攣する…。

 

そして最後は、銀色のナメクジが、

男から女に変身した人物の上をゆっくりと這う。

これは聖なる結合なのか。

 

死に面して広がる地獄のパノラマが

ダイダイ色の光につつまれたような

心象風景がこちらの胸に入り込む。

 

そうだ、舞台の上は、

見えない猛烈な風が吹いていた…。


 

 


脱・缶詰

11月中旬まで、えらい金欠にみまわれた。

やっとその状況から脱し、ほっとする。

 

食費の節約に、魚の100円缶詰を昼のディナーにした。

後で調べると、塩分や油分が多くて、

食べすぎはどうもよくないようだ。

 

新鮮な魚を食べたいものだ。

しかし、魚料理のレパートリーは少ない。

まあ、焼けばいい。


「ロッテンマイヤー先生」再考

 

子どもの頃、アニメ『アルプスの少女ハイジ』を

見たとき、ロッテンマイヤー先生は、

なんでイヤな人だろうと思った。

 

形式主義者、権威好き、ドイツ的厳格さ、

規律の信奉者、生き生きしたものに対して嫌悪を持つ人、

空疎な都会人…。

野生児ハイジとは真逆の人である。

 

しかし、今、このアニメを見返して見て、

この物語にとって重要な人物であったことを痛感する。

 

ロッテンマイヤー先生が、

クララやハイジを、徹底的に追い込まない

物わかりの良い先生だったら、

子どもたちはアルムの山に行くことなく

終わったであろう。

クララは一生足が立たず、

ハイジはおじいさんとペーターの元には戻らないで、

ノイローゼ気味の都会人に成長したことだろう。

 

身近にいるイヤな人物は、

人生という流れを意外な方向にけっ躓かせてくれる

「石」のようなものかもしれない。

煙たいながら、かけがえのない存在ともいえる。

 

もっとも大人の目で見れば、ロッテンマイヤー先生も

ひどく善良な人なのだが。


錦秋

 

秋の絵手紙です。

 

太古のゴリラ、プロコンスルは、別に季語ではありません。

秋らしい絵手紙なら紅葉や柿やリスなんか

描けばいいのですが、

なぜ「絵手紙」とくくられるジャンルは

いつも同じようなものを題材にするのでしょうか。

反抗したくなります。

もっと無軌道であってよいのでは。

 

だから、図鑑をくって、プロコンスルを描きました。

プロコンスルを選んだ理由は、特にありません。

いや、強いて言うなら、

笑ってるような感じがして心惹かれました。

 

「秋だ! 飯がうまいぞ!」と叫んでるように

見えませんか?

 

 

 

 


きつい…

 

地下鉄警備の仕事で、

プラットホームで延べ9時間立つ。

 

朝はいいが、夕方になると足が棒のように緊張し、

体力がだだもれていくよう。

目がじゅんじゅんして、

頭の奥が白くかすんでいくような感覚。

 

人身事故でダイヤの乱れがあり、

お客さんの対応でやや大わらわ。

説明の答えが分かっていれば、

むしろ気のまぎれる作業である。

 

先輩から、プリスクブラックミントを

そっと舐めれば、

眠気覚ましになることを教えてもらう。

その人から、電車番号や接近信号の見方、

声かけのやり方もきく。

仕事仲間は、基本的に親切な人が多い。

 

終了時刻がくると、「やれやれ、終わった…」と思う。

芯から疲れる。

ただ、家に帰ってのビールは、さすがにうまい。

 


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