大賢人トルストイ曰く…
トルストイの『生命について』(集英社文庫)を読書中。
古本屋でパラパラみて、この人の生命観を通して
科学観や宗教観が論じられているのに興味を持ち、買う。
100円なり。
まだ途中だが、一つの考え方を、
いろいろ言い換えて言葉をつらねているなと思う。
自分なりに、こう解釈してみた。
人間は、「個」として、己のみの幸せを追求しても、幸せにならない。
欲望を肥大化させて、物質を取り込むだけ。
それは、欲望の「袋」たる、あるいは、欲望の「獣」たる状態。
真の幸福とは、「個」を捨てること。
自分だけの利益を求めない。
「個」を「理性」の下において、
己という「個」以外の存在のためにつくすべき。
それによってはじめて「生命」につながり、
幸福を得ることができる。
これは、古の聖人が説き、
以来2000年の人類史が到達した真理である…と。
だから、トルストイにとって、「科学」は相当いかがわしく、
認識の間違った方法論ということになる。
科学は、物質の仕組みを解明するだけで、
「個」の意識を物質界にのみとどめる考え方だと。
では、「生命」とは何を意味するか。
「理性」とは何を意味するか。
「宗教」とどう付き合うか。
…は、まだ読んでない。
ごたいそうな問いである。
なにも教養を深めたいから問うのではない
(教養なんてクソくらえだ)。
中年時代の真ん中にいるから、
知りたいのである。