「ホドロフスキー」症候群、再び
早稲田松竹で、アレハンドロ・ホドロフスキーの
特集をやっていて、
『リアリティのダンス』と『エンドレス・ポエトリー』を見る。
両者ともにホドロフスキー自身の自伝的作品だ。
前者が少年時代、後者が青年時代にウエイトを置く。
瑞々しい映像美が、あくどいほどこれでもかと繰り広げられる。
80歳代とは思えないタフな精神力だ。
この2本で、ホドロフスキーが、幼少期から青年期までに
父との血みどろの闘いをしていたことを知る。
その父とはマッチョで力にあふれ、暴力を辞さない支配者である。
一方、母は豊満な女性らしい女性で、話すとソプラノボイスで
歌ってしまう人だ。
そのアンバランスが楽しい。
『リアリティ』の方で、ホドロフスキーは、
父に試練をあたえる。
共産主義者として、自国チリの独裁者を暗殺する
冒険劇に放り込むのだ。
彼は、チャンスを前にしつつも、
同情や憐憫のために独裁者の暗殺に失敗してしまう。
そのことによって父が、結局は、
息子ホドロフスキーや母と通じる
「愛の人」であることを証明したのだ。
ラスト、父と息子は、長い葛藤を経ての和解を
実現させる。
それを、老いたホドロフスキーが
映画を通してやりとげたことが感動的なのだ。
学生のころ、『エル・トポ』を見て愕然とし、
世界は広いと思った。
そのホドロフスキー映画は、なんと現在進行形ですごい。
また中毒になりそうだ。