あんたは、始皇帝かっ!?
ドナルド・トランプ米大統領が、
メキシコとの国境に、壁を建設すると報道。
3兆円ほどの公共事業になるようで、
実際工事が始まれば国内景気も刺激するという。
愚かなことだと思う。
あんたは、始皇帝かっ!?と揶揄したくもなる。
だが、壁建設は、トランプさんの公約で、
支持者が熱狂した「約束」なのだ。
それは日常レベルで、国境を越えるメキシコ人が
職を奪い、治安を悪くしているという
アメリカ国民の感覚がある。
メキシコ人をはじめとするヒスパニック系の移民は、
アメリカ社会に猛烈に増えており、
一つの文化圏として登場している。
それに対するその他アメリカ人の
違和感や恐れが、トランプの「壁」になったわけだ。
かつての東西冷戦にあった「鉄の壁」の妄念が、
また違う形でひょっこり出現したのかもしれない。
「移民」問題は、アメリカはもちろん、
世界の主要な複雑怪奇な悩みである。
「日本も他人事ではない」と言えば
ニュースの枕詞みたいだが、本当にそうなのだ。
国内のいろんな業界の人に仕事で話を聞いたが、
少子高齢化の人材不足は、どこでも抱える問題だった。
医師、看護師、ホームヘルパー、ホテル・旅館の従業員、
工場の職人、林業の従事者などなど…。
多くの業界が、このままだと立ちいかない。
つまりは、「外国人労働者」という移民が
物理的に必要なのだ。
それを望む潜在ニーズは、
顕在化して爆発しそうなのである。
でも、日本はまったく準備がない。
恐ろしいほどの無為無策。丸腰の手ぶらなのだ。
移民の壁が必要なほど、世界の動きは激越なのに。
移民を受け入れる国は、問題多発だが、
活力が生じている。
その国の文化圏で生まれ育つ移民の二世三世は、
地元の住人となっていく。
アメリカはおろかな壁を築いても、
「移民国家」である本質は否定できまい。
一方、日本は今後「移民」なしでは沈没する。
情報だけでなく、肉体を持った多文化の
受け入れを研究しないと。
でも「国」ってなんだろなと最近思う。
まず、生まれ育つ故郷と重なる地域である。
そして、近未来、その気風が好きで、
他の生まれの人が住みたいと
「選択する地域」の側面が
より強くなっていくのではないか。
上野動物園で、遊ぶ
動画『どんまい力士 マモルくん』第10話が完成!
マモルくんが、上野動物園をほのぼのめぐります。
ぜひ、見て、脱力してねっ!
以下、動画↓
https://www.youtube.com/watch?v=7NbrZBXNc5s
女たちの強烈な反戦映画
渋谷のユーロスペースでやっていた
「イスラーム映画祭2」の最終映画をなんとか見る。
レバノン映画で、ナラディーン・ラバキ監督の
『私たちはどこに行くの?』(2011年)は名作だった。
人里離れた岩が転がる村での話。
キリスト教徒とイスラム教徒が隣り合って住む。
村の男たちは、昔から宗教対立で殺し合ってきたが、
和解することから映画は始まる。
もともと村人は顔を知り合い、女たちはみな仲がいい。
しかし些細なことで、また男たちの喧嘩が勃発。
女たちは、セクシーなロシア人の踊り子まで呼んで
なだめようとする。
遠くの町で、キリスト教徒とイスラム教徒が
対立して闘争が激化。
おり悪く買い出しにいった村の少年が、
たまたま町のイスラム教徒が発した弾に打たれ、
早朝、死んでラバに乗って帰ってきた。
母親は悲嘆にくれるが、息子を井戸に隠す。
村の男たちに知れたら、殺し合いになるからだ。
このことは村の女たちに知れ、どうするかと思案する。
その策がすごい。
司祭とウラマー(イスラムの聖職者)の協力を得て、
村の男たちを村の食堂に集め、
踊り子のダンスでメロメロにさせつつ、
睡眠薬を入れたクッキーを食わして眠らせる。
女たちはそのすきに、男たちが隠していた銃を
村はずれに埋めてしまうのだ。
悲喜劇織り交ぜた、強烈な反戦映画だった。
古来から戦争をおっぱじめた男たちに対し、
戦禍で子どもや夫を失った
母や妻の何百億人分の
怒りを体現したような反撃である。
先の少年をなくした母の怒りが胸をつく。
夜、一人ひっそり教会に入り、
帰依していたマリア像に
「なぜ息子を奪うのか。あなたのところには二度と行かない!」と
砂を投げつけ慟哭する。
見下ろすマリア像は、血の涙を流す。
さて、朝、武器を隠された男たちが目を覚ますと、
母や妻が、敵の宗教に改宗していた。
キリスト教徒は、チャードルを着てイスラム教徒の装いとなり、
イスラム教徒はチャードルを脱ぎ捨て。
そして女たちは、男たちに言い放つ。
「汝の敵を愛せ」と。
現実のキリスト教徒とイスラム教徒の諍いに対する
痛烈な告発である。
ラスト、降参した男たちは、女たち含む村人総出で
亡き少年を弔うため、棺を担いで墓地へ向かう。
その墓地には、過去、殺し殺された村の男たちが眠る。
突然、棺を担いだ男たちが足踏みをしだす。
意に反しての力が働いている(神の力か)。
みなとまどいつつ、
なんと列はくるりと百八十度回転してしまう。
向かい合った村人の一人が、「おい、どこに行くんだ!?」と
声を放ったとこで、映画は唐突に終わる。
『私たちはどこに行くの?』の映画のタイトルが響いてくる。
すくなくとも、村人の列は、
殺し殺された歴史=墓地には進まないと
暗示しているのだと思う。
では、結局、村人はどこへ行くのか?
完全反戦か、条件平和か、神ある世界か、神なき世界か。
見てる「あんた」という「私たち」はどこに行くのか?
そして「自分」はどこに行くのか、と考える…。
健康の秘訣は「澁澤龍彦」
澁澤龍彦の本を読み返す。
マルキ・ド・サド侯爵、泥棒作家のジャン・ジュネ、
異端の宗教学者のジョルジュ・バタイユ、
黒ミサ、サバト、秘密結社…。
西洋の暗黒世界に耽溺する文章は、
20代の頃、圧倒的な魅力を放っていた。
その影響や余韻は、ずっと体の奥に残っていて、
良い「心の解毒剤」となり続けている。
ある事件や目の前のことがらの不条理に対して
正義感や義憤にかられたとき、
渋澤氏が描く人間の悪魔的面が
すーっと意識の彼方からやってくる。
その巨大な世界に対して
「正しい自分」がちっぽけになり、
心身冷えてくる。
おまえは、他者をなじるほど
清らかな人間なのかと。
人の心は、広大で深淵。
皮相なジャーナリズムが告発する善悪では
とても推し量れない。
推し量れない上に、
倫理観のすっきりした市民社会が成り立つのだ。
その皮一枚下は、
アモラル(無倫理)な風が吹いている。
そう実感することが、
明朗健康に生きる秘訣である。
まとまらない…
どうも、仕事の原稿がまとまらない。
とてもいい話が聞けて、いい記事になる。
でも、出だしがうまくいかない。
朝、起きて、日課をこなす。
読書して、洗濯して、掃除機かけて、
朝飯食べて皿を洗って、
ブログを書いて、お茶入れて、飲んで…、
さあ、書くぞと思っても
どうも気が入らないので、
ネットニュースを見ようとする。
ああ、どうでもいいことばかりと、
メールをチェック。
お昼がきて、また食べ、
リフレッシュにドドールまで自転車を飛ばし、
コーヒーを飲む贅沢をして、
帰宅すればもう13時。
気合をいれようとラジカセで何曲か聞いて
やるぞとパソコンに向かう。
大筋の流れは思い描けるけど、
細部の構成が混とんとしている。
無駄な文をわんさか打ち込んでは、
削除、コピペに削除、加筆加筆…と際限もない。
もう夕方で日もとっぷりくれた。
ガクッと疲れる。
自分は農民体質なのか、
太陽の光が消えると、
気が一挙に細る。
でも、まだ、ぜんぜんまとまらぬ。
もういい。
飯にして、風呂でも入って、焼酎飲もう。
ブログも書いてしまって、
早く寝て、
朝は9時、原稿書ける態勢に。
時間がないのだ。
こんなんじゃ、ライター、通用せぬぞ。
焦りつつ無我になれや。
ああ、この繰り返し。
つくづく孤独な商売だ。
繰り返す、朝へ、
意識をダイブせよ。
おしらせ
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