北千住のシアター1010にて、友人と平石耕一作・演出の『自り伝(ひとりでん)』を観劇。「徳川家康は盗人(ぬすっと)」と言い放った江戸中期の思想家・安藤昌益をモデルとした劇の第二弾。彼を弾圧したい権力者(劇中には姿を見せない)と対する昌益、彼を取り巻く助っ人武士、こじき芸人、弟子とのスリリングな攻防が無類に面白い。今回は、結託した武士と商人が「収奪者」として、昌益の舌鋒にさらされていた。「武士は百姓から奪った米を担保に借金し、5年10年の米まで売っている」と。作者平石の念頭にあるのは、3.11以降の政府、借金を今も莫大にふくらまし続ける日本。