十二単の「重み」

 

ファッションを学ぶ16/平安貴族の十二単は、王朝文化の華。しかし、実際はえらく重たいものだったらしい。布団代わりにもし、あんまり洗わないからお香をたきしめたとか。貴女は、この布の重力で床にへばりつけられ、いはば社会から隔離されつつ、政権中枢にいる男どもの社会を横目にみていた。その絶妙の距離感が、彼女たちに王朝文学を書かせたと後年の学者は言っていた。でもこんな布の塊と筆を放り出して、戸外を駆けまわりたいという衝動を、貴女は感じたかもしれないと考えてみる。

Diorの「軽み」

 

ファッションを学ぶ15/Dior(ディオール)のネックレスのコピーに「耐えられないほどの軽さ」というのがあった。この「軽み」は、同ブランドをよく表すコンセプトなのか。オートクチュール2014-2015年秋冬コレクションで歩くモデルさんは、散る雪のようにフワリフワリ歩いていて可憐だった。ヒシャクの上に積もる雪の俳句をいい加減に思い出す。ファッションには俳諧の味もある。ところで「Dior」なんて、日常の自分は絶対口にする言葉でないなぁ。

漠たる感じ

 

時をバクバク食い進む日々…。

ビフテキで、野生に帰る

 

ビフテキが猛烈に食べたくなって、500円のアメリカ産ステーキを買う。片面にブラックペッパーを大量にふりかけ焼いた。レアで食う。焼けたところと、生のぬるっとしたところをガムガムして飲みこんでいると、自分が野獣のように思えてくる。食べることは野蛮だ。ところで77歳の加山雄三は、毎朝ビフテキを食って若々しいが、やはり肉は体に良いものなのだろうか。

傾奇ロポの煩瑣な線



ファッションを学ぶ14/日本には昔から「傾奇者」という、過剰なファッョンで耳目を集めたがる輩がいた。歌舞伎はそれを洗練させたものだろう。今のロボットアニメにも、傾奇者な歌舞伎の伝統が流れてる気がする。まったく無駄なほどゴタゴタと細分化したパーツは、ナルシスト・マッチョ男の筋肉の如し。あんまり趣味じゃない。その対極に、線数の少ない「くまモン」初めとするユルキャラがいるのか。

渋谷ヤマンバの寂寥



ファッションを学ぶ13/ 90年代後半、渋谷の街に出現したガングロの「ヤマンバ」を見た時、心底驚いた。なんでわざわざ綺麗であろう顔に、こんな汚いメイクをするのかと。ボディペインティングするアフリカ民族を連想したが、その写真を見れば、自然の息吹を取り入れ、溌剌として美しい。日本のヤマンバの方は、自分のいい所をベタッと塗り潰してる。「かわいい」を拒絶している所が特異。徒党を組み、無理してアウトローになろうとするような寂しさを感じる。ガングロ少女も30代。話を聞いてみたい気がする。

「威嚇」の機能



ファッションを学ぶ12/ 昨日の「体型疑似変更スーツ」の違う使い方。ヤーさんなど不逞の輩に絡まれた時に、瞬時かつ自在に威嚇することができる。考えてみれば、ファッションには「威嚇」の機能がある。パリッとしたものを着こなせば、地位だとか富貴であることを、周囲の人に誇示できる。これは一種の威嚇だ。ヤーさんの衣装はもちろん「おれはヤーさん=暴力」という威嚇。熱帯の海に泳ぐ色とりどりの魚の模様は、天敵への威嚇のたまものという。威嚇とは、相対する生き物の命の張合いでもあり、その緊張感が美しい模様、つまりファッションを生むとしたら、ちょっとポエジーな気持ちになる。

「擬態」で、オシャレ&激ヤセ



ファッションを学ぶ11/かなり太目の人のための近未来スーツ。周囲の模様を体に映しこんで敵から身を護る生物の「擬態」をヒントに開発。 その表面は、粒子状のカメラ&スクリーンが集積しており、外界を映し込んで体型を細く見せる。映像ボディの上には、着たい服装を自由に載せることができる。欠点は、実際の体型は変わらないので周りが迷惑すること。

体服



 ファッションを学ぶ10/体型もファッションである昨今。痩せたり、鍛えたりの産業に不景気はない。「かっこいい」体への欲求は、根源的なもので、なくなりはしないだろう。将来、バイオテクノロジーの進歩で、体そのものを服のように取り替えられる時代がくるかもしれない。とすれば「病気」も絶滅するのか。故障が出た体は捨てればいいのだから。でもそうなれば、かえって脳偏重の世界になって、なにかしら異常なことにならないか。

ファッションは「顔」だ

 

ファッションを学ぶ9/だから、デザインだけではない。着る者の気分や体調も不用意に表してしまう。周囲にまともな人と思われるためには、服の「体調管理」をすべき。綺麗に洗い、常に皺をのばすこと(たまには餌を与え)で、「こざっぱり感」や「健康感」をさりげなく演出できる。しかし私のファッションは、日本の熱帯雨林化に素直に従ってボロキレ化しつつある。これはこれで機能的にはよいが。

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