非道徳絵本



図書館がいらなくなった本を置いておくスペースがある。持ち帰り自由なので、ときどき覗く。すると絵本作家の大御所・五味太郎の絵本が、あまり汚れてない状態なのに、そこにある。『正しい暮らし方読本』(福音館書店)という小学低学年向けのもの。読むとけっこう過激だ。箸の持ち方なんて、持ちやすいようにもて。道端で眠っていても、気持ちよく寝ている子は起こすな。ケンカしたら仲直りなんてウソで、ケンカの後、そのことについて深く考えるのが正しいケンカのしかただ。しかられるとき、しかる人の気持ちを考えよ。例えばしかる人は、本当に子のためにしかろうとしているのか、たんにむしゃくしゃしてるだけなのか、などなど。ウソを見抜いて、本当のことを考えなさいという本。これは大人向けのだなと思う。図書館が扱いに困ったろう名作。

お人よし

 

歩道沿いの家を解体している工事現場。どことなく馴れない感じの警備員のおっちゃん。バイトかなぁ。若奥さんが道を尋ねるなり、そちらに集中。歩行者、自転車の誘導の仕事が完全におろそかに。工事作業員のあんちゃんが、にがりきった顔で「おい!」と注意。世渡り下手そうな警備員のおっちゃんには、道を聞いてはいけない。

エール

 

歩道で、小学校1、2年の女の子が、大きな本を掲げて歩いている。首を傾げて、つぶらな瞳で字を追っている。本好きとしては、親近感がわく。そうだ、どんどん本を読んで、かしこくなるんだよ。考える力をいっぱいつけて。未来はより世知辛くなりそうだから。…ただし、座って読もう、危ないからね。

ブラックバードの舞

 

イギリスの歌手・ルーマーの「シーズンズ・オブ・マイ・ソウル」にはまる。2010年のリリースだから最近の人。14曲中「ブラックバード」がいい。聴いているとレース状の幾何学模様が浮かび、それがゆっくりほどけて、心の奥へ奥へわけ入っていくような感覚になる。歌詞は、唯一私を好きになってくれたあなたにさよならをいうのかつらいというもの。ブラックバードは唐突に現れ、「どのくらい隠れていたの?」と歌う。この鳥は、深層心理の空を舞う得体のしれない自己そのものか。優雅でけだるく不可解な舞。ぜひお聞きください。

https://www.youtube.com/watch?v=B-S3MU4z8OA


時間なし

 

朝から広告の仕事の訂正がどっと。年末に打つものだから時間なし。

イガイガ風景

 

快晴続きだが、空気がえらく渇く。木々の紅葉から、静電気が飛ぶのかイガイガして見える。雲も、栗の針みたいにトケトゲ。天空も帯電ている?


さっき、白湯が甘いと知りました

 

この歳になって、しかもさっき発見した味覚。そのためには、様々な要因が重なった。今年の猛暑、毎日2ℓの水を飲み続け、水を飲みなれてきたこと。入念な歯磨きの後、味の付いたものは口に入れたくない心理が働くこと。紅茶をきらしたこと(慢性的金欠でけちくさくなっていること)。そして、今朝、「めんどくせぇ、白湯でも飲むか」と、フーフーとのどを潤したしだい。何事も、時満ちて知る、ということなのだろう。

「洗濯機みたいに回したろか」と三半規管

 

人体の歌4/耳には、ものを聴くことと、体のバランスをとる二つの役割があるという。音って、空間の中で体のポジションを決める重要な知覚なんだろう。音楽が気持ちのバランス(生活の中の心の位置一)と関係するのは、深くつながってるのだろうか。バランスをとるのは、かたつむりのお化けみたいな「三半規管」と「か牛」。この中の体液がぐるぐる渦巻けば、洗濯機に放り込まれたように世の中グルグルまわるのだろう。しかと大地に足をつけて感じる水平感覚は、なんと微細な所でつくり出されていることよ。体内の不調は、その人の世界崩壊につながる。だがなかなかそうならない人体の調整力はすごい。

肉製情報ハイウェイ



人体の歌3/脳と体をつなぐ、情報ハイウェイの脊髄。 自律神経が通り、心拍数や筋肉、分泌物の動きをコントロールする。呼吸も、瞳孔の大きさも、腸の動きも、勝手にやってくれる。ここは単なるハイウェイなのか、また体の「脳」といってもよいのか。鉄腕アトムみたいな、喜怒哀楽あるロボットをつくろうと思ったら、このぶっとい脊髄のようなセンサーの束が必要になる気がする。

胃の中に、太陽と大地を!

 

人体の歌2/生活のストレスが直結する胃。緊張したりすると、ギューッと痛くなる。ならば、か弱い臓器か。そんなことはない。臓器の中で一番筋肉質で、ミキサーのようにブルブル動き、食べ物を粉砕する。カーペットを溶かす胃酸も出る。そんな胃が集団になれば獰猛極まりない。今や人類60億人分の胃は、地球の資源を食いつくそうとしている。いっそ、一人一人の胃の中に、太陽と大地を入れ、田畑と家畜を生産し、そのまま消化できるようにすればどうか。胃の中が平和になれば、人も外の世界も、きっと穏やかになるだろう。

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