落ちる!

 

落ちる1/マンホールのフタが、ズルリと開く。その穴に、私は吸い込まれる…。

街の健気な裏方さん

 

マンホールのつぶやき3/「多目的貯水槽」とある。真ん中の図柄は、井戸のポンプのデザイン。口から水滴が滴っている図の芸が細かい。「もし火事になったら、もし日照りになったら、おいらの水ガメを使っておくれ…」とつぶやきながら、日々に足やタイヤに踏まれているマンホールのフタよ。君の地味で健気な仕事を、今日もこっそり我が胸の内で讃えよう。

マンホール貴婦人



マンホールのつぶやき2/澄んだ空気の秋になる。花飾りを楽しむマンホールの貴婦人に出会う。華やかだな、オシャレっていいなと思っていると、「あなた、もっと身なりに気をつかいなさい」と貴婦人がこちらに忠告。「今、服より、食なんです」と言い訳する。

マンホールのつぶやき

 

マンホールのつぶやき1/道路を歩いていると、マンホールが結構ある。フタを取れば道は穴ぼこだらけということだ。なぜかそのフタが顔に見えてしかたない。歩いているとブツブツ何かつぶやいているような気がしてくる。それでは彼らの声に耳を傾けてみよう。第一弾は、歩道の植え込みとアスファルトの合間に埋まっているマンホール。先程の小ぶりの雨で、腹八分の水を飲んだそうだ。鼻に当たる桜のマークは「東京都」のしるしか。「良くできました」のハンコのようだ。


「種」から「カラス」への逸脱



暴走名画2/ミレーの「種まく人」だが、農夫は強風時に種を撒くはずはなく、彼の左側にあるV字のつぶつぶは、彼の手から風に舞う種ではないという指摘あり。空に羽ばたく「鳥」であると。それで妄想が膨らむ。種は鳥に変身して、農夫の手から飛び立ち、下に撒いた種を片端からついばんでいく暴徒に。人が大地に加える農耕という収奪行為を、阻止し復讐する自然をテーマにしてみた。鳥は、都市のごみ箱をあさるカラスと同じ。だがカラス自身は、自然側でなく人側の共犯者か。あんたの分け前をよこせと。名画の意図をさらに逸脱してみよう。

ミレーの妖気



暴走名画1/ ジャン=フランソワー・ミレーの「種まく人」のへたくそ模写。複製画の広告の仕事で資料を読むうち、改めて不気味な絵だと目をひく。夕暮れの畑にビョービョーと風が吹いるのだろう、全体が物悲しい。日本の田畑にない、異質な土の匂いがする。その中を毅然と足を運ぶ農夫。種を撒くといより、飛ばしてる。素人が一日やれば、体がバラバラになる重労で過酷そう。大気も畑も深々と黒く、種がちゃんと育つのか心配になる。そう、この絵には妖気が漂っている。ちょっと妄想で動かしてみよう。

拝啓 ドバイの大富豪様



手紙4/拝啓 ドバイの大富豪様  初めまして。あなたのことは寡聞にして、時間をもてあましている、ということしか知りません。そこで提案があります。あなたが所有の豪華客船で文化発信をしていただきたい。世界全200カ国のくせ者を1000人招待し、90日缶詰にして、激論させ、談話させる。テーマは何でもいい。政治でも経済でも芸術でも暮らしでも。その模様を常時テレビとラジオで50カ国語で発信し、ライターが10人かがりで取材したものを10冊作成。形式はノンフィクション、小説など自由。招待者、スタッフの宿泊費、食費は全部持ってくださいね。1兆円もあれば、何度もいろんな企画ができます。100万人ほど接待してください。大スターの一人二人、大名作の一つ二つ生まれたらいいじゃないですか。地球の全文化を肉弾戦でゴダゴダぶつければ、どんな変なものが出てくるのか。壮大な平和実験をぜひ。
旅人 敬具

拝啓 ブダ殿



手紙3/ 拝啓 ブタ殿 いつもお世話になっております。味噌汁や野菜炒めなど、万能の食材として食べさせてもらってます。おかげで、必要な動物性タンパク質と脂肪を摂取でき、健康に生かさしてもらってます。ところでこれだけ人に貢献していて、あなたはなぜ人から「愚か者」の代名詞にされているのか。またそれに対して、とくに抗議もされず、日々たんたんとお肉に加工されているのが実にお気の毒です。私も含め、人族は救いようもない愚か者です。あなたはその「愚か者」に無心で肉を与える「愚か者」ということで、「愚か者」としては格がずっと上かもしれません。あなたのブタ族の末永き繁栄を願い、たまに反省のポーズをしてみせる人族の一人として、食欲の秋の御挨拶をさせていただきます。
旅人 敬具

拝啓 時間殿



手紙2/拝啓 時間殿
最近、傍らを通りすぎるスピードが速くなっていませんか?気づけばもう人生の折り返し時点を過ぎました。そこで発奮し、先日より、全国の歯医者さんに話を聞いた本を書きたいと宣言して、あちこちで吹聴しています。でも、準備はたいして進んでいません。歯より、医療関連の本から読んで、迂遠にやってます。だから時間殿、そんなにせかさないで、もう少しゆっくり流れていただきたい。
旅人 敬具
 

歯型観賞

 

みどりの杜歯科クリニックで、歯型をつくってもらい、持ち帰る。噛み合わせてみると、上下の歯の凹凸がぴたりと合う。考えてみれば不思議である。元からそんな形だったのだろうが、長年噛み合っている内に、微調整しながら今の形に削れていったように思えてくる。でも、がっちり噛みあっている時間は、実はたいしてないらしい。ものの本によれば、スポーツ選手が歯を食いしばって力を出すということはなく、適度に歯と歯に隙間のある力の入れ具合にある時、集中力が増すとのこと。上の前歯である中切歯は、結構出っ歯気味だなぁ。

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