深海の人

 

先日亡くなった大島渚監督の映画で記憶に残るのは、やはり『愛のコリーダ』。昭和初期の軍国主義暗い世相の中での物語。小雪がちらつく中、藤達也扮する男が着流し姿で、阿部定の待つ宿へ歩く。その時、若い軍人たちの整然とした列とすれ違う。このシーンがとても好きだ。時代に逆行しても、一人、いや二人か、愚かで己の道を行く、という様がかっこよく思えた。戦より愛欲の方が上だぜお兄さん、と言ってるようなやつれた肩に哀愁も。出たがりで理屈屋の大島監督が、自分のことを深海に這うアンコウのようなぞらえていたという報道を意外に感じたが、映画は暗闇の中で光を灯して成り立つ業だから、案外正当な感慨なのかもしれない。深く潜らないと、いい光は自ら出てこない。

マイルス・デイビスの反骨



マイルス・デイビス「TUTU」ジャケットの写真の模写。TUTUは、南アフリカの黒人隔離政策(アパルトヘイト)に反対する運動家ツツ大司教を讃えたもの。社会的メッセージを堂々とスタイリッシュにやっている。そんなアーティストって、日本の音楽業界ではつくづくメジャーにならないなぁと思う。TUTUは曲もかっこいいので、ぜひ以下クリックして聞いてください。闇の底から深く切り裂くようなマイルスのトランペットは「幽玄」の域に。

http://video.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&p=TUTU+%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%93%E3%82%B9



充ちる人



こういう境地に達したいもの。 

ある冬の日の光景

 

自宅マンション前の通路で、若い女性の2組にお箸をセールスされる。新手の商売と関心しつつ、きつい仕事だなとも思う。かっこよく1万円でも渡して「釣りはいらないよ」と言いたいところだが、お引き取りいただいた。ドアを締めると、「すみません〜すみませ〜ん」と隣の部屋にアプローチする彼女らの細い声が、寒々と響きわたる…。

アベノミックスジュース



賽はふられたアベノミクス。どうせなら景気が良くなってもらわないと。大阪安倍野で上のような便乗商品を茶店で出して、ゲをかつぐもよし。2%の氷は「インフレ2%よ、プカプカと浮かべ」という意。阿部野は再開発地で、経済が上向いてくれという念力も強いだろうし。と、なんでもかんでもミックス!

「イチゴ国」に

 

今、一番売れている果物はイチゴだそうだ。地域起こしのブランドとして全国に200銘柄以上あるらしい。小さくて可愛く甘い、という流行るキーワードを全部持っている。これは時代の気分、いや現代日本のムードではないか。日の丸の梅干をイチゴに変えてカワユク軽やかな国旗にしたら、経済も上向くのでは。国家はAKBの歌にして、オリンピックの日本選手のユニフォームは草間彌生のイチゴデザインにする。きっと世界の人気者になるだろう。

毒イチゴ

 

あるテレビ番組で、超セレブのお嬢様が、ブランドのバックを数個買って200万円した、と言い放っていた。バックごときで正気か?!と思わず嘆く。ブランドの価値観が今一つわからない。それで一番高いバックは幾らかネットで検索すると、草間彌生がルイ・ヴィトンでデザインした水玉バック1,000万円がヒットしてくる。いったい何がいいのか。まるで毒イチゴじゃないか。いや、このハデな袋を1,000万に吊り上げる草間の「毒」にこそ凄みある価値があるのかもしれない。この猛毒力こそ経済を動かすのか。

パプアツアー報告予告

 

パプアニューギニアツアーのニューズレター記事からの転載。2月末から、このブログで、ツアーの模様を連載できればと思う。

単純なる日々

 

自分を歯磨き粉に例えると、上のごとし。イラスト冊子の仕事、遅々として進めているが、恐ろしいほどペースが決まってくる。夜7時になると、気力が枯渇して、どうしても頭がしびれてくる。通り抜けきらなければならない、長いトンネルを歩いているよう。

心の的

 

ジェニファー・ウォーンズの「ハンター」を何度も聞く。中毒なほど。互いの心を的にみたてて、弓矢で射抜きましょうという恋のさや当ての歌詞。最後に「銃」まで出てきて、さすがは狩猟民族のアメリカンと思う。が、全体は心がほかほかと浮き立つ優しい曲。その底に、寂しげな感情が流れてるよう。二人は心の的を狙い合わずにはおられないほど、やはり個人であると。でも、それが生きることか。繊細なまなざし。

http://www.youtube.com/watch?v=iLlYw2XDFbg


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