疑似カリフォルニア・スカイ

 

ブルー5/先ほどホテルのブレイクファスト(朝食)を済ませ、ワイン片手にプールサイドに立つ。華やかな嬌声と水しぶきの音が、酔ってほんのり熱い肌に爽やかだ。カリフォルニアの乾いた紺碧の空が、私の頭上に広がる…。ウソです。ここは東京足立区の安マンション4階の階段踊り場。上の風景は、隣家で、その屋上にかかる梯子である。一瞬プールサイドに見えて、妄想を広げてみた。また旅に出たいが資金はなし、地べたにギュウギュウ押さえつけれてる心境。実はカリフォルニアなんか行きたくない。同じ空のブルーを見るなら、濃紺のチベットがよい。健康な空より、神秘の空へ堕ちていきたいもの…。蚊に食われて疲れ切った8月末の朝。

「後方注意!」ブルー

 

ブルー4/以前から、きっとそうだと思っていることがある。横断歩道の青信号の人物は、帽子をかぶっていて、後方確認のために後ろを振り向いていると。景気よく前に「進む」には、後ろを振り返る注意深さが必要だ、と信号は教えているような炎天下の遊歩道。

ビビン麺とブルー

 

ブルー3/昼、近くの韓国食材店で、ビビン麺(甘辛い冷麺)のセットを一袋買う。すると、店の韓国人のお姉さんが、大根とキュウリを自家製に酢漬けしたものをサービスしてくれる。帰宅後、すぐに食べると、酢物と冷麺がとても合うことに驚く。開け放った窓に広がる空につながる朝鮮半島を想い、ビビン麺を産んだ文化圏を改めてリスペクト。その間に浮かぶ小島を「竹島だ」「独島(トクド)だ」と日韓がいがみ合うのは残念でならない。いっそこの島を2国の共同管理にして、「麺」の島にしてはどうか。西側は冷麺の店々、東側はソーメン・ざるそばの店々を建て並べ、島の中央は日韓共同開発した「竹ドク冷麺」の店をオープンする…。と、夏の深みある空のブルーを見つつ、夢想する。

切なきポカリスエットブルー

 

ブルー2/のどの渇く日々、1.5リットルのポカリスエットを冷蔵庫に常時入れておくようになる。この飲料水と出会ったのは中学校の頃。同じ水泳部の友人が、休憩時間にプールサイドで専用のボトルで飲んでいた。ちょっと飲ませてもらって「かっこいい味だなぁ」と思った。その時、6月か7月で水温が低く、部員のみんな唇が紫だった。声変わりしない友達が、かん高い声であみんの曲を歌い、よけいに寒々とした雰囲気。竹刀を持った暴力指導教師が来る前で、どことなく緊迫した空気が流れていた。憧れてた部員の女の子が体に塗っていたタイガーバームの薬の匂いがひんやり甘く漂って妙に物悲しかった。そんな光景を生々しく脳裏浮かばせるポカリスエットの、切なきブルー…。

ブルーで運気アップ

 

ブルー1/本箱の片隅にあった本『幸運を呼ぶファッション・セラピー』(朝日新聞出版)をひっぱり出す。著者のドレスセラピストの池本紫さんとは、1年前、ある出版関係者の集まりで名刺交換した。色と心理の関係はなんとなく興味がある。同書の表にある四柱推命では、ラッキーカラーは「青」。確かに青は大好きで、飛行機に乗ったら、空の透明感ある青を飽かずに眺める。もうボロボロだが、手持ちの青シャツは愛用の一着だ。今週のブログは「青(ブルー)」をテーマにして、運気を上げよう。

デトックス生活

 

水だのウーロン茶だの、日に3リットル前後も飲む。日中大量の汗が出るし、エアコンなしで熱帯夜を過ごすから、体は四六時中水分を求める。それによって体の中にまるで川がザザッと注ぎ込んで、また出ていく状態になっているのか。体の老廃物を出すデトックス生活を、意図せずしているのかもしれない。かつて夏は、エアコンと外の炎天下の温度差でよく体調を崩したが、現在の調子はそうひどいものでもない。

「青じそスキヤキ」試す

 

たまたま見ていた料理番組で、ノンオイルの青じそを使ったスキヤキを紹介。つくってみたが、まあまあ。醤油と砂糖ベースのスキヤキの方がやはりうまい。夏バテで精をつけようと、久々に牛肉に。豚肉並みに安い豪州産にしたが、繊維が細くモソモソした食感でいまいち迫力に欠く。とにかくスタミナはついたのだろうが。

知識の「かかし」

 

ツァラトゥストラ7/教養ある現代人は、ツァラトゥストラから見れば、過去の記号や文字を塗りたくった「かかし」だとのこと。情報社会の中で、ただ知識をゴダゴタと身につけているからだろう。これは詰め込み型の学校教育の成果かもしれない。無味乾燥な知識は、頭に砂をため込んだように思考力や感性をかえってダメにする。その量を誇って威張る人はおめでたい。知識は、日々の疑問や好奇心から発してたぐりよせてこそ、血肉になり、生きる糧になると思う。役に立つ知識も大事だが、心の糧になる知識の方が重要だ。ナチの強制収容所で生き延びたのは、過酷な状況下で長編の叙事詩をそらんじたような、知識の泉を胸に秘めていた人たちだった。

お告げ

 

「うそ?!」と思った。親指の爪を切っていた爪切りが、しなうなり折れはじけ飛んでしまった。爪が硬くてハグハグしているのを力任せに押さえたのがいけなかった。この吉凶どう見るか。「鋼の意志(爪)が、現実の労苦(爪切り)を吹き飛ばす」とのお告げと解釈しよう。

地獄耳の不具者

 

ツァラトゥストラ6/「救済」の一節。不具者や乞食の群れが、ツァラトゥストラを囲み、「コブをとれ」「足なえを治せ」と迫る。だが、ツァラトゥストラは、「その不具こそ知恵の元」とつっぱねる。不具者を癒したキリストの奇跡を批判しているのだろう。次に登場するのが上のシーン。世の成功者や偉大とされる者は、一つの機能を異常に特化させた「逆向きの不具者だ」とツァラトゥストラ。「人間の間は、人間の断片ばかり転がってして恐ろしい」と嘆く。そして「その断片をひとつのものに凝集し、総合することこそわたしの努力の一切なのだ」と宣言。ところで、耳の不具者は笑える。政界のドンか、裏世界に通じるマフィアのボスか。

| 1/4PAGES | >>

このサイト内を検索

携帯ページ

qrcode