サッカー顔

 

サッカー男女二部合唱 ♪ 澤・永井「まだ似ている二人と言われたことはないけれど〜勝たなきゃならない日本サッカーを〜背負った互いの顔が同じですぅ〜」 澤「私のカミソリパスで、カナダを負かしたよ〜」 永井「僕の俊足でスペイン制したゾ〜」 澤・永井「勝たなきゃいけない私たち、このとてつもない重圧を〜メダルに変えよう〜(そしたら帰国後CMにも出れるぞ)〜ひょっとして二人は、勝負に強いモンゴル人顔かなぁ?〜英雄チンギス・ハーンが血を沸き立たせ、戦闘部隊を統率するように〜世界制覇、目指そうぜ〜」♪

朝の塩分補給

 

それは、ベツドの上で、滝のような汗を流したから。深夜2時頃、扇風機が、ついにこと切れたのだ。ブーンと回っていた羽がどうしょうもなく弱々しくなり、やかでピクリとも動かなくなった。同時に額から、全身から、じんわりと汗が。暑いのでマットも敷かないゆえ、ベッドのスプリングが背中にゴツゴツ痛い。寝つけない。2時間ごとにガバッと起き上がり、シャワーをあびる。ウーロン茶をがぶ飲みする。その過程で、体の養分が抜けていった。インスタントうどん「どん兵衛」が、五体に染みわたる朝7時、快晴。

猫夫婦

 

朝方、ベッドでまどろんでいると、本箱に棲む猫夫婦(てのひらサイズの人形)の会話を聞いてしまう。「おまえ、深夜は暑かったねぇ」「そうねぇ。でも私たちは体小さいから、窓からの風で結構しのげるけど。あの人(恐らく私のこと)はねぇ…」「なんか扇風機が壊れて、『なんてこった!』と言ってたなぁ」「2つあった羽の1つが止ったようよ」「気の毒だねぇ」「そうねぇ…」。

ゴンチャロフ…

 

工場仕事3/喧騒と機械の熱気で意識がもうろうとしてくる。プラスチックを砕くミキサーの回転音がうるさい。「浅井さんのゴンチャロフ、浅井さんのゴンチャロフ…」というフレーズにしか聞こえなくなる。17時の終業ベルが鳴る。私たちの作業は、ここから残業の3時間コースに入る。時給がグッと上がる。横の若い相棒の作業ペースは一向に落ちず、むしろ早くなってる気がしてギョッとする。私の方は、手つきが怪しくなってきてるからだ。小ネジをつけた金具を、プラスチックのステッキ製造機に打ち込む作業がうまくできなくなる。金具を垂直にする時、何度やっても大量にネジが落ちてしまう。スピードが足りない。「ああ…」と思う。物悲しくなる。

3秒の確保

 

工場仕事2/同じ派遣会社から来た、昨日と同じ青年とコンビで仕事をする。一度作業に入ると手を止められない。作業のきつさと工場内の喧騒で、頭がもうろうとしてくる。相棒の青年は手際良く、ペースも一向に落ちない。一方私は、「私のようなおっさんにはハードすぎる」と内心ぐちりつつ、手つきもあやしくなり、不良品の山を築く。しかし相棒はいやな顔一つせず黙々とフォローしてくれる。つらそうな顔をしていたのだろうか、私のパートを一瞬でささっとやってくれ、「水分補給を!」と言ってくれる。その3秒の隙に飲めと。慌てて手元のウーロン茶ボトルを口へ。「いい人だなぁ」と、じ〜んとしてしまう。

製造業の現場、事始め

 

月末に手早く稼いでおこうと、派遣会社からの仕事を受けた。指定されたある製造工場で11時間の作業である。5ミリほどのプラスチックパーツを金型にはめ込む作業をえんえんと行った。神経を集中し、かなり根をつめる仕事だ。誰でもできる作業と聞いていたので、大雑把なものとぼんやり思っていたが、かなり細かく厳密なもの。たまたま相棒は感じのよい青年で、こちらのミスも親切に指摘してくれる。日当がよいので、4、5日やってみるかと思いつつも、こりゃ相当過酷…。

情報について



こんな広告は、私たちにはバカバカしい。しかし、優秀なランナーが社会的に最も評価される社会に生きる人たちなら、マラソンのタイム1秒1秒に重要な意味を読みとるだろう。だから駅から家までの年齢別タイムで、その道程を具体的かつ詳細にイメージできるはず。ここで考えるのは、情報についてだ。求められる情報こそ価値があり、それはその固有の文化に生きる人びとの欲望の形に基づく。現在大手メディアが発する情報に不審の目が向けられている。変転する文化の真っただ中にいる人びとの求める情報とズレを生じているからだと思う。例えば政党派閥や役所発の記者クラブ情報などは、 マラソン至上主義の国の不動産広告のごとく、我々の社会には価値のない、瑣末なものになり下がっているのではないか。

占領下67年目



基地がある限り、日本はまだアメリカの占領地なのだろうと思う。オスプレイが目下話題だが、日本の庶民は、こういう問題から一つ一つ怒っていかなければならない。日本政府が情けないのは、外交に対して毅然としたスタンス、理念がないことだ。日米安保は二国間の取り決めというだけで、未来永劫変えてはいけないものでもない。戦後67年なんだから、見直し、修正の時期ではないか。またアメリカの圧倒的な軍事力が、世界のはた迷惑なのはもう自明。この国の兵器だの兵隊だのが、むしろ世界と同時に自国を不安定にしているのではないのか。

玉手箱を開ける

 

実家から持ってきたものの、何十年も開けてないダンボール箱を開ける。中には、中学生から二十歳前後に録音したカセットテープが雑然と300本ほど。FMラジオから録音した音楽番組ものがひしめく。CDレンタル屋がまだなかったからだ。中学生、高校生の時、夢中で聞いていたジャズがたくさんある。ダミ声のルイアーム・ストロング、黒人「美空ひばり」のサラ・ヴォーン、痙れんした指さばきのセロニアス・モンク、野性のゴリラのようなチャールス・ミンガス、マフィアのボスみたいなマイルス・ディビス、瞑想家のキース・ジャレット…。なぜか、アメリカの黒人音楽にあこがれた。体系的に聞かないので、その後音楽の知識はさほど増えていない。でも少年時代に聞きこんだ旋律は、骨身に染みてるって感じがする。今も自分の感情は、その時聞いたジャズの変奏曲。

絶対肯定とは



タモリが27時間しきる番組がやっているのを見て、ぼんやり上の弔辞を思い出す。「あなたは生活のすべてがギャグでした」と、タモリは師匠「赤塚不二夫」を語った。物事の絶対肯定で、時間が前後にたち放たれて、苦しみに満ちた暗い陰の世界は陽に転じる。その絶対肯定こそ、ギャグであり、笑いである。タモリの番組は、陰の世界を陽に転じる「場」であり続けるからこそ長寿たりえているのだろう。いかがわしいもの、うさんくさいもののごった煮であるがゆえ、誰もがくつろげる場。この笑う世界は、カラリと乾いている。じめっとした感傷を吹き飛ばすナンセナンスは、心の健康に必要な風。

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