良いお年を!

 

時々頬にかじかんだ手を当ててぬくめつつパソコンに向かっています。暖房なしで、まだいけそうです。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。今年は国内外にいろんなことが起こり、激動の時代の中にいるなぁと実感します。 つづりたいことがますます増えるようです。このブログに訪問いただいた方、ありがとうございました。来年も盛りだくさんなのでご期待ください。たまにもっとアホ企画もやりたいなぁと。来年もよろしくお願い申し上げます。では、良いお年を!

新「伝統木構造」のパイオニア

 

63/東京都練馬区のU邸は、画期的な「伝統木構造の家」となった。河合工務店の施工力とヒロ空間企画の設計力が実現させた「200年住宅」。耐震性が抜群に優れる(日本住宅新聞でも報道)。
 佐々さんは、NPO「伝統木構造の会」の理事でもある。U邸では、同会会長の構造家・増田一眞さんを招き、伝統的な継手仕口、複数材で組んだ「合成梁」や新しい筋かい法を設計に組み入れた。
 小野代表は、抱負を語る。「商店、施設などを多く手掛けましたが、今後は木造建築に力を入れます」。洗練されたデザイン力が、「新しい木造」を開拓する。

木の空間美を追い求める

 

62/「図面を描く前段階に時間をかけます」。高岡さんは、いつも建て主の要望をとことん聞く。「専門家としとてダメなことはNOと言いますが…」。
 河合工務店の木造住宅の設計を斬新なセンスで練り上げる高岡さん。一方で「もっと木のことを学び、その構造的な美しさを配慮したデザインを手掛けたい」とも話す。
 絵の上は、尊敬するある建築家が設計した木造住宅。「この大胆で精神性の高い、木の空間構成に憧れます」。
 高岡さんの基本スタイルは、「シンプル&スモール」。事務所はまさに小スペースで機能的。

「設計」の仕事とは

 

61/空を覆うのはUFOではない。辻垣さんの代表作の一つ、カトリック浜松教会の天井。国産材のドームが祈りの場を、より神聖に、心安らぐ空間に。右は、太い梁や柱が大胆に交錯する木造住宅の室内だ。中央は、日本の山。絵では、杉や桧などの針葉樹のみでなく、ケヤキやブナなどの広葉樹も混ざった自然林にした。桜も咲く。辻垣さんの理想は、一軒の家に多様な木を使うから。
 「設計の仕事とは、建て主の希望をよく聞き、同時に自らの考えをしっかり提案すること」。建て主の立場に立ちつつ、社会全体がよくなるようにと。

透き通った眼差し

 

60/パプア・ニューブリテン島のマラクル村の子供たち。辻垣さん撮影の写真を模写した。森に浄化された川の水は、奇跡のように美しい。飲めば体に透き通るほどおいしいという。森林伐採は、この環境を壊す。水は汚染され、村の自給自足の暮らしは成り立たなくなる。
 「森林大国の日本が自国の木を切らず、熱帯雨林の木を切る。しかも合板という薬づけの、シックハウスの要因となる建材をつくり、使う。本当に腹立たしい」と憤る辻垣さん。パプアの森では、その顔は童子に。現地の人たちとワイワイ釣りをし、火を囲む。

人生が交錯する

 

59/辻垣さんは1941年生まれで、河合社長と同い年。青春は政治の季節にもまれた。60年安保の学生運動に加わり、世の矛盾を突いた。
 時代は下って2005年、両者はパプアの会のツアーで熱帯雨林の現状を共に垣間見た。家のつくり手として、若い頃から脈打つ公憤において、完全に一致する。
 でも仕事は組まなかった。河合さんは基本的に中野区を地盤とするからだ。一方、建築家の辻垣さんのエリアは広い。両者を結びつけたのは中野さんご夫婦。以降、河合&辻垣コンビは、珠玉の木造住宅をつくり出していく。

筋金入りの環境派

 

58/「木造建築は大工に習え」。大学時代、故・嶺岸泰夫教授から指導され、現場でみっちり木造を学んだ辻垣正彦さん。筋金入りの木造住宅設計者だ。国産の無垢材を使用し、伝統の職人技を生かす。作風は機能的かつオシャレ。集成材や合板は使わない。なぜならその生産は、熱帯雨林を破壊するからだ。
 辻垣さんのもう一つの肩書きは、市民団体「パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会」代表。企業らによる大規模伐採を防ぐため、現地住民を支援している。信条と行動が一致。事務所の本棚に、世界観が現れる。

ぐんぐん育つ若手

 

57/酒井棟梁の元には、後継者もちゃんと育っている。入社5年目の長原さんが、長斧で杉の大木と格闘。棟梁の「ほれ、やってみなっ!」との指導の元、木目の飾りを施していた。技術と美的センス、そして度胸をつける実施の訓練となる。
 長原さんは、国交省が主催する大工養成塾に3年学んだ後、入社。「父親が設計事務所を営んでいて、昔から家づくりの現場を見てました。なぜか、自分自身の手でつくってみたいと。大工の仕事は奥が深いです。木と触れていることがとても楽しい」。目つきのきりっとした青年だ。


作業場 は「宝の山」

 

56/作業場は、見どころ満載。丸太の断面を覗けば、中央が赤い芯で周囲が白い。25年生の杉なら芯を軸に周りを削って角材に。50年生以上となれば、木目がしまって周辺部も使用できるとのこと。カンナがけで難しいのは柔らかい杉材の周辺部の白い部分で、これが一人前に削れれば一人前だという。
  作業場の奥には、ナシやカヤなどの稀少価値のある銘木の板や丸太がストック。一品一品購入すれば高価な材ばかりだ。仕入れのチャンスがあればその都度確保。図面にはないテーブルや棚などに、建て主へのサプライズサービスすることもあるという。

複雑微妙な仕口の形

 

55/仕口とは、木材と木材を継ぐためのでっぱりと穴。今の日本の家では、「プレカット」といい、機械で均一的に加工してしまう。しかし河合工務店は、伝統の技法により手で刻む。機械も使うが、木のそりをきちんと見て、一本一本加工。手刻みの仕口は、パズルのように複雑微妙だ。家一軒の刻みには、約2カ月はかかる。組み上がれば、揺れにも強い構造材となる。釘を使わないので、耐久性も高い。
 ちなみに、熟練の棟梁・酒井さんは、設計図面を見れば、パッと立体図が思い浮かび、どこにどんな部材が入るか瞬時に分かるそうだ。数学者並みかも。

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