ショッキングな口の中身

 

歯治療5/宮田医師の診療法に共感し、体験したいと思っただけで、歯が痛いわけでもない。しかし、診察してもらうと見事に歯周病だった。歯茎は薄紫でぶよぶよとし、針でつつかれるとすぐ血がにじんだ。舌がうごめき、自分の知らない歯のでこぼこが実に不気味だった。普段歯どころか、ロクに顔も見ないので、鏡に映る髭のそり残しがみっともないとも思った。歯の洗浄では、痛みで全身が真っ赤になったよう。実は診察自体も慣れてない。力んでどっと疲れた後、ふいに横にきたお子さんと目が合う。治療風景を見ていたようだが、この年頃から医療現場に親しんでいるとは…と感心する。

森の中で口をあける

 

歯治療4/院内は国産の無垢材を使用した空間。診察台に座り、天井を見ると木なのが落ち着く。薬くささや、病院によくある白くピカピカした感じがしない。宮田医師夫婦が、理想とする木の医院をと、執念の4年かけてそれを実現するつくり手を探したという。白羽の矢が当たったのは、東京中野区の河合工務店、設計者は品川区の辻垣建築設計事務所。木の心地よさで、診察台の上で眠る患者さんもいるとか。

顎骨に鉄のクサビは痛かろう

 

歯治療ルポ3/宮田医師より、師事する飯塚博士のインプラント批判を興味深く聞く。骨に穴をあけ、鉄を埋めるのだから、それがクサビとなって負荷がかかり続けば、骨には相当よくない、というのはイメージしやすかった。驚いたのが、そんな過酷な人工歯が6〜7年しか持たないと、インプラント推奨側の医師が言っていることだ(『歯科受診の常識』飯塚哲夫著より)。でも、ネットを見ればインプラント治療の花盛り。儲かる商品なら、不の側面は隠すのが世の習い。これって、水俣や原発問題と同じ話に思えてくる。

人生綱渡り

 

書籍企画「○○力」8/人生、断崖絶壁に張り渡した細い綱を渡るがごとく。一歩間違えば奈落の底。かといって危険に身をすくませることなく、泰然自若とすべし。この緊張の中で心のバランスを保つ力を「綱渡り力」とする。 「ウクレレの弦のごとく、適度な張りがあってこそ、美音は奏でられる」としたり顔で言う高木ブーも綱の上に描こうとしたが、スペース足りず。また、「綱渡り状態は、単に今のあんたじゃないか!」とつっこむのはやめてください。人生の心得、処世について説いた啓発本の企画。

この世で一番恐ろしい力

 

書籍企画「○○力」7/人気子役の芦田愛菜を描いたが微妙な似方。「おねだり力」の凄まじさを実感したのは、彼女が出演する某CM。目の前で同じセリフを言われたら即答でイエスと言うだろう(もちろんランドセルのくだりまで)。なぜか。可愛いからか。いや、もっとややこしい。先方は、こちらに身を預けるような頼りなさで「可愛い」という感情をかきたてつつ、こちらの身を逆にしばる。先方はそれを自覚しつつ、自分の欲求をねじ伏せるように求めてくる。実に憎たらしい。「おねだり力」とは、容姿のよい人物だけが持てる能力なのか。いや、催眠術と同じようなものかもしれない。通常の人間にも使えるテクニックがある気がする。しかし! 気高く生きるなら、人におねだりするなんてもってのほか!この本の企画は、「おねだり力」を検証し、その力を防御する術を解説する。

歯よ、生か死か、それが問題だ

 

歯治療2/少し単純化した。「虫歯」は歯周病を含む「歯の病気」、「歯を殺す」というのは歯自体や神経を抜いたりして本来の歯でなくなってしまうこと、としたい。ただ宮田医師は、「直す」と「治す」の両方が自分たちの仕事だとする。しかし世の歯医者は、「直す」視点しかもたない、その発想すらないと。この考え方は、宮田医師の恩師、近代口腔科学研究所の飯塚哲夫氏にならったもの。「直す」方が技術的に容易で儲かる歯科業界にあって、「治す」派は圧倒的少数。患者にとっては「治す」の方がはるかにいいはず。医療とは何ぞや、の根深き話がチラチラと見えてくる。

ビルを柱に緑の大地を

 

書籍企画「○○力」6/東京・新宿に行くたびに、「ああ、高いビル、たくさん…」と口を開けて空を仰ぐ。そんな時、よく思い浮かべるのが上の情景。高いビルに巨大な板を渡し、その上に原生林をつくれば、都市の温度も下がってよかろうと。CO2排出対策の先進事例にもなる。高速道路をつくれたんだからきっとできるさ、と無責任に思う。もし、緑のベルトができたとしても、都心で便利ということで、宅地造成はしてほしくない。夢がない。それより、何百年後に、この森に自給自足する種族が生まれて、下のビルの都市人と文化交流する、と考える方が楽しい。この本は、都市を「緑力」で住みよくしようという構想を示したもの。

地球の身になって考えよう!

 

書籍企画「○○力」5/よくホラーや怪談で、霊が人に乗り移る、憑依するという話があります。その力を「相手の身になって考える」「相手の苦しみを知る」ということに使えば、世界はもっとよくなるばす。ただ、この力も特殊能力なので、一般のノウハウ本にはなりません。どちらかと言えば、童話やSFものか。もしこの憑依力、みんなが使えたら、いつも私にたくさんの人がとりついたり、私自身があっちこっち何かにとりついて、世の中が混乱してしまうような…。

世の歯医師は「修理屋」

 

歯治療1/「なんでいきなり歯?」と、思われた人も多いかも。このシリーズの発端は、宮田ご夫婦から上の話を聞いたとき。世の当たり前とされている「歯科医療」って変だなぁと。「虫歯は抜くもので、直るものではない」という常識はどうも違うらしい。これは結構すごいことではっ!と、鼻息が荒くなる。ご夫婦が実践される「歯科医療」を体験しつつ、それをこの絵ルポで説明してみよう。今後、散発的な連載に。※「デンティスト(dentist)」とは英語で「歯科医師」。「医療する人」といった意味はまったく持たない。大道香具師の一種である「歯抜き」がその起源。

歯医者に通うことにしました

 

今、自然素材の健康な家づくりに取り組む河合工務店を取材で追っかけている。その建て主さんの一組み宮田さんご夫婦のご自宅兼歯科医院を訪問。その際、画期的な歯科医療についてうかがう。虫歯や歯周病は完治できると。通常の歯科医は、虫歯は引っこ抜き、歯周病については、実は治せない。歯の修理工であって、病を治す医師ではないとのこと。その話に興味を持ち、先日、宮田さんに改めて歯を見てもらった。自分の歯茎は、みごとに初期段階の歯周病だった。治療を決め、その過程をルポすることにした。カウンセリングを重視する治療スタイルが新鮮です。カテゴリーは「歯治療ルポ」。実際は歯周病治療ですが。

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