チェーホフの桜舞う

 

『桜の園』は、没落する貴族と経済力をつけ始める民衆が交錯する時代のお話。マダム・ラネーフスカヤは、不倫し、夫と幼い息子に死なれ、気が動転しつつ恋人とパリに駆け落ちし、お金がなくなり、娘アーニャと故郷に戻る…という奔放な人。しかし純真な人に描かれる。ロパーピンは養女ワーリャのお相手。劇中には完全な人間はおらず、みな中途半端で、笑い嘆く、つまり等身大通の人たちが息づいている。安藤由布樹のピアノは、そんなチェーホフの世界を、華やかに物憂く、苦く、そして甘く奏でている。

石油の大本は、生き物



丸善石油の制作(1960年)。石油は、太陽エネルギーを光合成で有機物にする生物、それを食べる生物の死骸が降り積もってできる。いはば自然の贈り物であり、人間はただこれを搾取して繁栄しているにすぎない…と感慨にふける。ところで、記録映画はかつて大企業のスポンサーでたくさんつくられた。科学映画もその系譜で名作が生まれた。NPO法人科学映像館のHPがまるごと無料配信している記録映画をぜひ見てほしい。自然、科学、医療、産業、文化などの選りすぐりがそろっている。
http://www.kagakueizo.org/movie/nichieikagaku/


近松の「女の義理」に、待ったをかける



今さらながら浄瑠璃初体験。近松門左衛門作「心中天網島」の天満紙屋内の段より。遊女・小春が商人・太兵衛に見受けされる噂に、悔し涙を流す治兵衛。それで不倫を思いきろうとする。だが、妻・おさんはそれを聞き、顔色を変える。以前おさんは小春に手紙で「夫を思い切ってほしい」と懇願し、小春は承知。だが、身請けすると聞いた時、小春が死ぬと直感。それで上の行動。しかし、その結果は悲惨。夫は遊女と駆け落ちし、二人は心中。おさんは夫を失い、子供を抱え路頭に迷う。情念に押し流され、翻弄するはかない人間像…。この凄みのある浄瑠璃を、2時間聞けて2000円は安い。


ジャーナリスト講釈師・神田香織を聞く

 

古典芸能に詳しい友人と上野広小路亭に。かつて文盲だった人々のニュースキャスターだった原点に返り、現代史ものに挑戦する女流講釈師・神田香織とその一門の講釈を聞く。当日のネタは、向井建設の三代記。時事問題を問う硬派の香織氏だが、企業ものもやるのかと思う。講談ではよくあるようだが。「ファンの社長さんからの依頼でつくったもので、よいしょしてます」と、壇上で正直に言うのはさすが。企業ものは、ドキュメンタリー映画の草創期にも主流だった。「硬派」が食べていくのは大変。

日本の色、時代の断層図



色に興味があって、足立区生涯学習センターで開かれていた講座を受講。「戦後から現在までの流行色と流行色のつくられ方」をテーマに文化女子大学・大関徹教授が語る。時代の気分が色で表現されるのが面白い。ちなみに現在は、70年代に帰って、環境を意識したアースカラーとのこと。だが、誰もが良いという基層の色は、江戸時代にルーツがあるという。黒、茶、藍、白などだ。地味といえば地味か。南国にあるような原色文化ではないわけだ。

古民家で、ラテ一杯の至福

 

一か月前に行きました。下町情緒あふれる中のしっとり雰囲気の店構え。店内は、古材の内装が落ち着いた気分に。ベトナムコーヒーもうまい。宮田ご夫婦は元バックパッカーで、インド大陸も横断したとのこと。穏やかな人柄。海外で放浪すると日本文化に回帰するのか。そんなシンパシーも感じてしまう。夜は居酒屋となり、昼ののみの営業。描いて思うが、やはりパプアと配色が違うなぁと。

日本に帰ってきました



いっきょに場面は変わり、東京です。現在、細々と暮らしています。ルポを書きたいと思い、いろいろ調べたりしてます。テーマの基準は、世の関心の高いこと、役に立つこと(アホらしいのも含め)です。いけそうなテーマがあれば、このブログでも少し展開してみますので、ご覧下さい。 

極彩色の空の下で、「おしまい」



ついに、パプアニューギニアの旅、最終回となりました。全122枚 の記録です。予定の約2倍になってしまいました。この旅は、「パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会」のツアーとして参加したものです。この場を借りて、会の方々、ツアーメンバーの方々、また、現地にてお世話になった方々、そして、このルポに関心を持っていただいた方々へ、厚く御礼申し上げます。…といっても、明日から、通常の「東京ぼんやり日記」に戻ります。題材は山のようにありますから。乞うご期待!!

精霊のぼやき

 

さて、パプアニューギニアの旅も終りに近づきました。ビールの波に乗って、精霊がお別れを言いに来たようです…。

幾重ものバリア



パプアの旅も明日で終わり。ポートモレスビーの旅の半分はホテルで待機。部屋にいると、幾重にも重なる囲いで覆われているような息苦しさを感じる。ただ、持参の本を読んで退屈はしなかった。活字に飢えていたのか。ホテルはいつもがらんとしていて客も少なく、話し相手もいない。

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