豪雨哀歌

 

渦巻く暗雲より、

水が怒涛に流れ落ちたり落ち流れたり。

流れた水は巌のように固まりうねり

大地と人の棲家と人工物を、

荘厳に飲み込んでは打ち砕く。

 

営々と築き上げた生活、

そのほんの1時間前にあった安寧は、

もう泥水と化し、

思い出もろとも打ち砕かれた。

 

足元は深淵となり、自分はとるにたらない存在と

ぐらぐら思い知らされる。

恐怖が下から脳天にせりあがる。

「これは天災、しかたない…」とあきらめることで、

脆く崩れ去ろうとする心をつなぎとめる。

 

こんなタフな心情を鍛え上げざるを得ない

風土に展開する歴史は、

近年ますます過酷になるばかり。

 

アリは、そぼふる平凡な雨にも、

大洪水の憂き目をみるが、

その度ごとに、通路やら倉庫やら

女王様の部屋やらを、黙々修復するのだろうか。

 

しかし、われわれは、アリよりもタフかもしれない。

どん底の悲嘆に全身を染めつつも、

今を生きるしかないから。

 

 


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