マニュアル芸術

 

地下鉄構内の案内というバイトを、週2回することにする。

研修の初日は、座学だった。

 

仕事内容は、警備業法の1号業務である施設警備に該当する

という。

施設内における事故の発生を警戒防止するのが業務。

「あっ、警備なのか」と、意外の感あり。

 

一番の仕事は、プラットフォームから

人が線路に落ちないよう、終始監視することだ。

だが、通常の警備よりは、「接客」の要素が大きい

特殊な分野である。

 

特に難易度が高いのは、車いすを利用する人の

階段の上り下りだ。

一台につき六人がかかわる。

持ち方の作法は、前に背の低い人二人、

後ろに背の高い人二人が担当。

その後ろをさらに二人が監視。

角度は、利用者が落っこちないようにやや上向き。

持ち上げる際は、

「よっこらせ」やら「せいのっ」なんて掛け声は

ご法度。モノ扱いするようで、利用者に不快感を

いだかせるからだ。ここは「一、二のそれ」とやる。

 

大変なのは申し送りだ。

利用者が階段を昇降したいとするとき、

行きたい駅を聞く。

そして、出発地点のプラットフォーム、電車の位置、

到着予想時間を、到着駅の駅員に伝えないといけない。

間違いは許されない。

 

…ここまでやるのかと思う。

ものすごい労力である。

まるでお茶の作法のように複雑かつ精密で

「マニュアルの芸術」化といいたくなる。

世界の駅では、どうなっているのだろうとふと思う。


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