ロシア人形劇が『かぐや姫』

 

芸術漫遊。友人と両国のシアターX(カイ)にて、

クルガン人形劇場ガリバーの『かぐや姫』を観劇。

ロシアの劇団が、日本の古典を独自の解釈で演じる。

演出は日本人の西村洋一、

演者の三人の黒子はロシアの俳優さん。

 

人形劇というが、実際の人形は、黒髪つややかな

かぐや姫のみ。翁と媼は、面と着物のみで黒子が舞う。

文楽と能がミックスされている。

しかも声なしの無言劇。

とてもシンプルな組み合わせだが、

それゆえ複雑な感情表現ができるらしい。

 

物語は、原作と少し違う。

ミカドに求婚されたかぐや姫は、その貴人に恋をしてしまう。

貴人の面をかぶる黒子が、むんずとがくや姫の胸に手を入れ

踊るシーンは、とても艶めかしい。

恋をするとは、恋人に自分の核をつかまれることかと思う。

 

黒子はまるで、形をなす前の人の意思、無明の意志そのもの

のように見えてくる。

それが、面だの人形だのつかむことによって、

「自己」がパッと浮かび上がる。

黒子に動かされる「自己」の持続が、つまり人生なのだ。

登場人物が眠りに落ちるとき、黒子はそっとその場を離れ、

闇の奥に消えていく。この感じがとても味わい深かった。

 

全編、舞台上の輝く月のものにドラマは進行する。

90分はうっとりするような静かで豊穣な夢幻世界。

ラスト、かぐやが天の衣をひるがえし、

月に向かって飛ぶシーンは、とても神秘的だった。

その後、かぐやは舞台に立つ。

黄色い月が、緑のまだらの球体に。

あれは地球ということか。

月に立ったかぐやは、

これからどうやって暮らすのだろうと、

いらぬことを考える。

そこは死後の世界ともいえるのか…。

 

 

 


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