『教えられなかった戦争』を見る

 

友人と東京ウィメンズプラザ・ホールで

上映していた高岩仁監督(故人)の

『教えられなかった戦争 中国編』を見る。

 

日中戦争における日本軍のひどさが、

日中双方の証言者が語る事実の細部に表現されていた。

 

日本軍はろくすっぽ兵站を持たず、

中国の農民から食料をかっぱらいながら、

人びとを切り裂きながら進んでいった。

あげくは悪名高い731部隊で生きた人を実験台し、

中国人を虐殺する細菌兵器を開発していく。

本当におぞましい。

 

高岩監督は、資本主義が戦争の原因とする。

それはそうだろう。

だが、疑問は次々とわく。

なぜ、日本軍はここまで過酷な「鬼」になりえたのか。

日本文化、日本の組織構造が関係しているのか。

人間の闇が、日本文化の枠の中で発露しているのか。

戦争における残虐は、すべての人間の業なのか。

状況がそろえば、将来もまた起こりうることなのか。

また、日本人の業と人間の業が原因なら、

「戦争責任」の取り方とはどのようにするのか。

それは戦争に関係のなかった日本人の子孫が相手国に

つぐなえるものなのか。

 

映画の中に出ていた山辺悠喜子の話は

とても心に響いた。

日本の敗戦で中国の大地に放り出され、

中国の東北人民解放軍に参加した人だ。

当時の中国人は、かつて「鬼」で食いはぐれた日本人に

内戦に参加するなら協力してほしいと声をかけたという。

収奪に徹した日本軍とは、明らかに倫理観が違う。

国づくりに向かう明朗な正しさがある。

中国が国となるとき、

とても魅力的な民意があったというのは発見だった。

そして自分たちの民意を反映する組織をつくるため、

権力者を素朴に選んでいった。

今の中国の巨大権力機構に、

その時の輝きがあるかどうかは知らない。

ただ山辺さんの生きた解放軍は、

まっとうで爽やかであったと思う。

 

戦争の事実は、社会資産なのだと思う。

事実が分からなければ、原因も分からない。

また、人間、社会の極限によって、

知恵があぶり出されるものであるらしい。

それを学ぶことは、おぞましさに堪え得るなら

心を深くするかもしれない。

しかし、破滅するかもしれない。

超高速で物質を衝突させ、

宇宙の謎を解明する新しい素粒子が

自身の崩壊によって飛び出てくるように。

 

 

 


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