「ドンキーホーテ」的なラーベさん

 

四谷区民ホールで上映された

「南京 史実を守る映画祭」で見たもう一本、

『ジョン・ラーベ〜南京のシンドラー〜』について。

 

南京を陥落した日本軍より市民を守るために、

残留した欧米人の十数人が、

南京安全地区国際委員会を立ち上げ、安全地区を設けた。

そのリーダーがナチ党員のジョン・ラーベである。

 

映画を見た当初は、映画的すぎる筋などから

『南京!南京!』より不徹底なものに思えた。

だが、大阪府立大学大学院教授の永田喜嗣さんの解説本を

読むとこの映画の意味やラーベの見方が変わる。

『南京!南京!』では、「抗日」を強調するあまり、

南京安全地区国際委員会やラーベを無力に描いている。

だが、安全地区での欧米人の働きは、

やはり注目すべきものだ。

この安全地区のおかげで20万人の市民の命が助かったからだ。

映画でラーベは、堂々たる正義の人に描かれているが、

今は忘れ去られたラーベの存在を知らしめるには、

必要なフィクションとも言える。

 

研究者である永田さんの本に書かれた実際のラーベは

映画と少し違う。彼の偉業は映画の通りだが、

人物像は物腰柔らかい人である。

元貧乏人の苦労人。

学はないものの有能な人で、ジーメンス社員として

30年中国に滞在。

そもそもこの人は、一企業人であり、

中国人民を命をはってかばう義理もない。

日本軍と民間人の折衝役となったのは、

彼特有の純粋な義侠心であったようだ。

永田さんの説では、ラーベは英雄志向で、

ヒトラーとリンカーンを英雄として尊敬していた。

思想的にはムチャクチャな話で、かれはナチ党員であったが、

ナチの思想を理解していなかった。

 

永田さんは、ラーベを、人種への偏見がないコスモポリタンで、

ナチとは相いれない、お人よしのドンキーホーテだとする。

だから誰にでも好かれた。敵国の日本軍人でさえ。

そんな人こそ、膨大な人を救えたのだ。

何本かの映画で少々かっこよくしてもいいだろう。

そもそも映画は史実ではない。

史実を考えるための種みたいなものだ。

種はたくさんあっていい。

 

 

 

 

 

 

 


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