安室奈美恵とアムラー
安室奈美恵が引退したというニュースの大きさ自体に驚く。
私はファンではないので、この人に特に思い入れはない。
ただ、ひどくいい人だなと思ったことがある。
熱烈なアムラー(安室奈美恵のファン)である
芸人イモトアヤコの番組に、
安室が御茶を持って突如現れ、
後ろからイモトを驚かすというやつがあった。
チャイナドレス姿の安室は
しゃべくるイモトの話をさえぎってはと
後ろで10分も待機し、タイミングを計るのである。
大スターなのだから、さっさと前に出ればいいのにと思う。
謙虚な人である。
やがて安室はイモトをきっちり驚かすが、
安室が去った後、スタッフから感想を聞かれたイモトは、
鼻水をたらして感激の涙に嗚咽。
アムラーとは、安室をあがめる人たちなのだと実感する。
安室はどこか巫女さんのように思えてしかたない。
「安室語録」なんて吐くような強烈なキャラクターでなく、
無色透明な依り代となって、時代精神と一体化する人なのだ。
だから人は彼女に自分の人生をオーバーラップさせ、
心のよりどころとすることができた。
この重圧、どんなにすさまじいものなのか
勝手に推し量るだけで粛然としてくる。
それを20年も続ければ、もう辞めたいと思うだろう。
依り代としての純度には若さも必要だし。
安室は偉大な歌手を辞めて、ただの人になろうとする。
素にもどった元スターが、今後、
日本で日常生活を送れるのか少々気になる。
その前に自分の心配をせよということだが。