「味家」、再び
味家1/
「味家」とは、「味のある家」という意味で、
私の造語である。
以前少しやったことがあるが、かなりごぶさた。
最近ちょこちょこ見かけるので、
たまに掲載してみよう。
上は都心の地下鉄が集中する
ビジネス街の風景である。
まだ新築らしいアパホテルの横に、
コンクリートの壁が黒ずんだ「味家」を発見。
老朽化で心持ち右に傾いているようだ。
ホテルの若々しさと鋭く対比する
そのみすぼらしさに魅了される。
『ちいさいおうち』という絵本の名作を
思い出す。
幸福な家族が住む緑の丘の
「ちいさいおうち」が主人公。
年月を経るほどに、周囲に建物が建ち、
ついには高層ビルだらけになる。
変わらないのは「ちいさなおうち」だけ。
ただ、もう人は住まずぼろの空き家と化す。
その姿が子ども心に物悲しく映った。
ホテル横の味家はどうか。
目の前にすると、なにか生々しいものが
感じられる。
それはどうやら人が住んでいそうだからだ。
絵本のような
大河物語はあるのか、ないのか。