重力場マンション

 

反モードな広告/1

 

電車に乗っていると、新築マンションの広告が

相変わらず目に付く。

決まって巨大な箱が、朝日か夕日にキラリ輝き、

そこでの生活がバラ色であることを謳っている。

 

今、人口減で、空き家率が10なん%もある時代に、

こうも新築を量産し続けていいのかなと疑問がわく。

また、こんな画一的なデザインの巨大な建物が

未だに建ちまくって街の景観をつまらなくしているのは

どうなのか。

 

そこでこのモード(流行)に異議を唱えるべく、

上のような独自性のあるマンションを提案しよう。

気鋭の建築家が一度は空想する、全室床斜め、

いやもっと過激に床ぐんにゃりの集合住宅はいかがであろう。

そのカーブは人間工学を駆使して計算されており、

歩いてよろけたとたん、ドスンと腰を落とせる位置に、

ソファーなり寝椅子なりが配置されている。

急ぎの時は、身を床に横たえ、ゴロゴロ転がればよい。

粘着テープ付のガウンを着て転がれば、

同時に掃除もできる。

 

マンション屋上には、どでかいアルミ製のボールが

輝いている。

これがとてつもない重力を発する星で、

周囲の時空間を捻じ曲げている、

という趣向の建築デザインだ。

 

マンション名は、「重力場」の英語読みをそのまんま

冠に載せて地名と並列し、

「グラビテーションプレイス足立」とした。

なんとなくかっこいい響き。

たいていのマンション名は、カタカナの羅列なので

ここはモードに従った。

 

駅から5分で、眺望の良し。

少々住みにくいが、人に自慢できる奇抜なデザイン!

 

どうです? 住みたくなるでしょう?

 

この原案を実現し、

新機軸を打ち出したいマンション業者の方、

ぜひお知らせください。

もっと強烈な提案をいたします。

共同開発しませんか?


「太る」ビジネス

 

反モードな広告/2

 

今、体の美の基準は細いことだ。

だから「痩せる」ことに関するビジネスは、

いつも大繁盛である。

 

しかし、「太りたい」という人も少数ながらもいるはずだ。

お相撲さんや、太った登場人物の役を受けてしまった

役者さんなど、その筆頭に思い浮かぶ。

 

ただ、太ることに憧れ、太ることが美しいと思う人だって

世の中にはきっといるはずだ。

「短期間で太る」「健康的に太る」「ツヤツヤと太る」と

いう技術を開発して売り出せば、一定の需要はあるかもしれない。

 

アフリカのある文化圏は、女性は太っている方がもてるという。

豊満な体は、「豊かさ」「色気」の象徴となるらしい。

そんなところで「太る」店を出せば、流行りそうな気もするが、

太るためには大量の脂肪なり物理的な何かが必要で、

コストがかさんで大変かもしれない。

 

ただ痩せる技術と同じだけの情熱を

太る技術に注ぎ込めば、

効率的な方法が見つかるかもしれない。

太るスイッチみたいな遺伝子があって、刺激すればぶわっと

体が膨張するとか。

 

布袋さんも大黒さんも太っている。

見るからに幸福そうだ。

太っている人は、周りに緊張感を与えない。

これは一つの固定観念かもしれない。

太る人ばかり登場するきつい愛憎劇をやれば、

なにかしら新鮮な見世物ができるだろうか。

 


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