無重力レスレング

 

無重力遊び/1

 

火星へ行くまで、ロケットで半年かかるという。

その間、問題となるのは時間の潰し方だ。

船内という密室空間で精神的に健康を維持し続けるなら、

気晴らしが必要だ。

そこで無重力スペースを使ってのお遊びを、

色々考案しようと思う。

そのうちNASAから声がかかるかもしれない。

 

第一弾は、無重レスリングである。

ルールは簡単。

密閉された球体内の赤い印に体をつけたら負け、

というもの。

もちろん球体内は無重力であり、

二人向かい合う競技者は、

上下左右の方向感覚を持てない。

ただし、赤い印は固定されているので、

そこに意識が方向性を見出すだろう。

 

このレスリングは、腕力があまり必要ない。

強く相手を押すほど、作用・反作用の法則で、

自身も吹っ飛ばされてしまうからだ。

相手を赤い印に追いやるには、

繊細な力加減、幾何学的構想が求められる。

いはば、「人間ビリアード」であり、

思考力と熟練の技が勝負を決める。

 

競技者の汗は、球体の水滴となって飛び交い、

それが体にまつわりついてくるのは

いささかうっとうしいかもしれない。

裸よりは、汗を吸着するウェットスーツでも

着るのがよいかも。

 

 


うさばらし

 

無重力遊び/2

 

無重力の部屋に、風呂1杯分の水をドワワ〜ンと浮かす。

その真ん中に体を入れて、暴れる…。

 

この単純な遊びを、ぜひやってみたいものだ。

 

ただ、宇宙ステーション内や移動中のロケットの中では、

禁止行為となっているかもしれない。

宇宙空間においてポツンとある閉鎖空間では、

水は大変貴重だから。

 

 


「金魚泳ぎ」をマスター

 

無重力遊び/3

 

金魚のコスチュームをして泳ぐ遊び。

部屋には、当然空気が入っており、

水のような抵抗感がなく、

かえってスカスカした感じで、

最初は優雅に進めないかもしれない。

尾っぽと胴体をいかに互い違いに動かすかが、

きっとキメ手だ。

 

出目金レンズの眼鏡をかけているので、

金魚の視界で見渡すことができる。

「エサ」を擬したクッキーをばらまき、

それに食いつくと、金魚気分は満点に。

 

懸命な努力と工夫で、

金魚泳ぎを完全マスターする人も

現れるだろう。

その人のために巨大金魚鉢をつくり、

中で泳いでもらう金魚ショーをやるのも、

長い宇宙滞在のひまつぶしには

もってこいとなる。


無重力歯医者

 

無重力遊び/4

 

これは遊びではないが、

無重力状態では、

歯医者さんの治療がしやすくなると思う。

 

通常、重力のある通常の診療所だと、

虫歯を削る器具が、奥歯だと斜めになり、

また見えづらくて削りにくい。

しかし無重力なら、患者さんの頭を

都合のよい方向に向けさせ、

器具と歯との角度を自由にでき、

削りやすくなる。

 

ただし、歯医者さんも患者さんも、

しっかり固定しないと、治療が始まってすぐ

作用・反作用の法則が働き、

互いがはじかれてしまう。

したがって、上のような大げさな設備が必要となる。

 

無重力ゆえに可能になる治療は

いろいろありそうだが、

どんなものだろうか。


3D碁

 

重力遊び/5

 

「碁」をアレンジしたもので、

説明のため線の数を減らし、

碁石の色は、黒と赤とする。

 

通常の縦横平面の碁盤に、高さを加えるだけで、

一気に難易度が上がると思う。

異なる色の石の囲み合いなのだろうが、

その形が立体になることで、

よじりあい絡み合う形になるので、

勝敗がわかりづらくなる気はする。

碁の専門家に考えてほしいものだ。

 

あらゆるスポーツを、

三方向使える無重力空間に落とし込めば、

ことごとく新しいゲームとなるだろう。

3D野球、3Dサッカー、3Dテニスとか。

 

線上の速さを競う

一次元スポーツといえる

マラソンや水泳は、

無重力でやっても、さして面白くなさそうだが。

…いや、そうでもない。

巨大なガラスの渦巻貝の中を走るとか、

泳ぐとしかすれば、

絵として楽しいかな。

 


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