エアー茶碗丼、納豆ご飯篇

 

エアー茶碗丼/1

 

『茶碗 平成の百人 100茶碗』(NHK出版)を

繰ってみる。

 

載っているのは、茶道具としての茶碗だが、

ごはんを盛ってもいいわけだ。

そもそも「茶碗」は「飯茶碗」ともいう。

 

例えば、

十代・大樋長左衛門作「大樋釉茶碗」という

いかめしい名を持つ茶碗。

納豆ご飯に合いそう。

 

今、自分が使っている茶碗は、

100円ショップで買ったプラスチックの味噌汁用の碗で、

もうボロボロだ。

「文化」のかけらもない。

まったく「美」のない生活である。

 

この100茶碗の本で、

ちょっと遊んでみよう。

エアー豪華茶碗で、夢のエアー丼を…。

 

 

 


海苔踊り

 

エアー茶碗丼/2

 

徳澤守俊作「朝鮮唐津茶碗」に

飯を高々と盛ってみた。

…う〜ん、さすが、様になる。

 

半分を占める黒釉薬が映えるように、

味海苔をペタペタ貼る。

いいなぁ…腹がグーッと鳴る。

 

天辺には、梅干しを乗せよう。

これで決まりだ。


飯のアーチ

 

エアー茶碗丼/3

 

左は畠山是閑作「越前伊羅保茶碗」、

右は野坂康起作「萩伊羅保釉茶碗」。

 

風合いある名器を並べ、

ごはんのアーチをつくってみた。

何たるボリューム。

この飯の大橋を、

定番の味付けで彩る。

 

このシリーズのテーマは「盛る」。

どんどん盛っていこう。

 

 

 

 

 


盛って盛って盛りまくれ!

 

エアー茶碗丼/4

 

『茶碗 平成の百人 100茶碗』で、

一番艶やかなのが、山田和作「赫釉織部茶碗」。

白地にたっぷり塗られた真紅の釉薬が

ツヤツヤしていいなぁと思う。

今回は、この逸品に巨大海鮮丼を盛ってみた。

 

これに対抗する派手なものは、

キャバクラ嬢の「昇天ペガサスMIX盛り」だろう。

ユーチューブで知った髪型だ。

今の水商売の人が髪を盛っていくのは、

江戸時代の花魁と同じ。

 

「盛る」ということは、

モノをどんどん足していくごとに

高揚感をかきたててくれる行為である。

外へ外へと向かうアホ行為であり、

この勢いのまったくない人生はつまらない。

 

でも、あまりやると、密度がなくなって

中身が空虚になる傾向はある。

そのときは侘び寂びに戻って縮こまり、

内なるエネルギーを貯めるがよい。


グロ×グロ=味

エアー茶碗丼/5

 

十五代・樂吉左衛門作「焼貫黒樂茶碗 吹馬」に、

半分冗談でイカすみ丼を盛ってみる。

 

グロテスクになるかと思ったら、

案外、ピタリと調和してしまった。

土感の出てる茶碗って、

いろんな食材を受け入れるんだな。

 

ところで、茶道具用の茶飲みの碗で、

なんやかや料理を盛ったりすることはありなのだろうか。

邪道なのか、そうでもないのか。

 

だが、茶碗なんて撫でさすって「鑑賞」するより

実際に使ってなんぼだと思う。

 

陶芸家のつくった碗を、

うがいのコップ代わりにしてもよいし、

つまようじ入れにしてもよいし、

はたまた背中にグリグリ当てて

ツボマッサージグッズにしてもよいはすだ。

 

 

 


ピタッと茶漬け

 

エアー茶碗丼/5

 

小川哲男作「粉引茶碗」で、

永谷園のわさび茶漬けを盛ってみた。

白い椀に筆字でちょんと点があるシンプルなデザイン。

この名作も、見事なほど茶漬けとフィットする。

CMに使ってもいいほどだ。

 

同色の牛乳を入れれば、

小さな「牛」になるぞモーッ。

あえて異質なインドカレーを注いで、

白いナンをつけて食べてもうまそうだ。

 


頭がキーン

 

エアー茶碗丼/6

 

暑い。まだ7月中旬なのに、

30℃越えというのはやはり異様だ。

 

そこで、三代・徳田八十吉作「耀彩茶碗」に、

富士山状のかき氷を盛ってみた。

青色のシロップは「ブルーハワイ」というやつ。

 

サクサクと霊山を食べつくして「涼」を。

 

 


チョコレート棒茶会

 

エアー茶碗丼/7

 

兼田昌尚作「茶碗」

(シンプルな作品名。謙虚な陶芸家なのだろう。

いや、頑固なのか)に、

チョコレートの棒を盛ってみた。

これをお茶会に出して、みんなで回してかじれば

楽しかろうと思う。

 

グループでの回し飲みを考え出したのは

千利休だそうだが、そのアイデアの元は、

キリスト教会の儀式とのこと。

説教後、祭壇前で牧師さんがワインを注いだ杯を、

「キリストの血だ」と言って

信者さんたちが回しのみするところを見て、

茶会でやろうと思ったそうだ。

 

チョコレート棒のお茶会も、

利休の大胆なパクリに比べると

おとなしいものだ。

真面目に何百年もやり続ければ、

いろんな小うるさい作法も発達して

きっと厳粛な雰囲気になっていくのだろう。

 

 


そびえよ、えび天

 

エアー茶碗丼/9

 

ほんのり赤いところや、ひび割れから

えび煎餅を思い出す。

 

そうだ、この岡田裕作「鬼萩茶碗」には、

高々とそびえるエビのテンプラが素晴らしい

えび天丼を盛ってみよう。

 

しっくりするなぁ。

夏、という感じだ。

 

 


ソーメン茶会

 

エアー茶碗丼/10

 

外に出ると皮膚がジリジリ痛い。

この暑さは、9月も続くらしい。

長丁場になる。

 

最近、づふつぶつ熱いごはんより、

ソーメンやら、ザルうどんやら、

かっこむことが多くなる。

 

十五代・板倉新兵衛作「萩白釉流し刷毛目茶碗」には、

冷水で流したソーメンを叩きつけていこう。

白い釉薬の流れた模様が、勢いあって

涼やかだ。

 

ソーメン銃のようなものをつくって、

お椀にピンポイントでぶつけていく道具ができれば、

ソーメン茶会ができるなと思う。

受け取りに失敗した場合を考えて、

清水を注いだプールで行うとよい。

水に落ちたふわふわしたソーメンは、

手持ちのラーメン用の湯切りで

すくうこと。

 


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