放置

 

マル・ウォルドンが演出した「レフト・アローン」。

切々としたアルト・サックスを吹くのはジャッキー・マクリーン。

 

「レフト・アローン」ってなんだとネットで調べると

「放置」と出てきてびっくりする。

身もふたもないなと。

 

もっとやわらかめに訳すと、「独りぼっちになる」

「そのままになる」「放っておかれる」となる。

 

「左」側というのは、古今東西、人間にとって「内面」とか、

「不浄」とかイメージされるようだ。

そこに独りポツンといると、

「放置」されたような鬱勃とした気持ちになるのか。

 

この曲、「レフト・アローン」は、

「見捨てられ感」ありつつも、むしろそれに向き合って、

浸りきって、孤独しているかっこよさがある。

「寂しいなぁ…」とつぶやきながら、

夜のガス灯に照らされた石畳を

よれよれコートを着た男がトホトボ歩き、

闇に飲まれて消えていく感じ…か。

 

一度、お聞きあれ、「放置」。

https://www.youtube.com/watch?v=rhLLKakG1Bw

 


都内地下鉄のジェームズ・ボンド

 

中年のビジネスマンらしき白人さんが

さっとプラットホームから電車内に入って来る。

 

「ジェームズ・ボンドかっ!」と突っ込みたくなるほど

スラリ立派な姿だった。

日本のオフィスで仕事をしてたら、

きっと目立ってしょうがないだろう。

 

やはり背広は欧米系のでかい人たちのもんで、

ひょろりとした小柄なアジア人には

もともと合わないのかな、

とちらり思う。

 

白人さんは座席を見つけると

もてあましぎみに長い脚を折りたたみ、

どことなく所在なさげに

目を泳がせていた。


エアーゴージャス

 

エアー茶碗丼/11

 

十二世・坂高麗左衛門作

「陶彩景山水図櫛目面取茶碗」に、

中国風豚の角煮を盛ってみた。

 

作家名も作品名も作品も豪華絢爛。

黄色ところは金箔があしらわれている。

そんな茶器だから、

豚の角煮が、もう幻のゴージャス料理に思えてくる。

 

もしこの料理が、

薄汚れたベコベコのアルミの器に盛られ、

ぬかるみの地面に置かれていたら、

果たして食欲がわくだろうか。

きっとグロテスクな肉片に思えるだろう。

 

綺麗な器は、

食い物を「文化」に高める文化装置だ。

「いや、これは茶器だ! 肉なんか盛るな!」と

十二世・坂高麗左衛門氏はきっと怒るだろうが

そう思う。

 

もっとも、極限の飢餓状態になれば、

肉片はどんな状態でもごちそうである。

たとえぬかるみの中に落ちていたって、

ひっつかんで口にモゴモゴ押し込むだろう。

 

文化は、「飢え」を脱しないと出てこない。

文化は贅沢品だが心の滋養であり、

生活の基礎であり、絶対必要なもの。

これをないがしろにする者は人でない、人でなしだ。

 

だから不当に高値で手の届かない茶器なるものを、

一回「情報」という「空気(エアー)」にして、

好きに利用させてもらおう。

 

 

 

 

 


タフな奴

 

炎天下、裏路裏。

雑居ビルの大きな送風機が、

生暖かい風をモーモーと吐き出し、

周囲をさらに蒸し暑くしている。

 

そのうっとうしい風を全面に受けて立つ

セイタカアワダチ草を発見。

たえず温風にさらされているためか、

下半身は茶色く枯れている。

コンクリートを割って出たものの、

その下の地面にはろくな栄養もないだろうから、

体も痩せきってちんちくりん。

 

しかし、頭には数枚の青々とした葉が

旗竿のようにはためいている。

巨大送風機に立ち向かう姿がりりしい。

風車と戦うドンキーホーテみたい。

 

こんな最悪な環境でも

生きてるあんたは

タフな野郎だ。

 

 

 


マッチ電球

 

中学時代の一コマまんが/58


ソーメン茶会

 

エアー茶碗丼/10

 

外に出ると皮膚がジリジリ痛い。

この暑さは、9月も続くらしい。

長丁場になる。

 

最近、づふつぶつ熱いごはんより、

ソーメンやら、ザルうどんやら、

かっこむことが多くなる。

 

十五代・板倉新兵衛作「萩白釉流し刷毛目茶碗」には、

冷水で流したソーメンを叩きつけていこう。

白い釉薬の流れた模様が、勢いあって

涼やかだ。

 

ソーメン銃のようなものをつくって、

お椀にピンポイントでぶつけていく道具ができれば、

ソーメン茶会ができるなと思う。

受け取りに失敗した場合を考えて、

清水を注いだプールで行うとよい。

水に落ちたふわふわしたソーメンは、

手持ちのラーメン用の湯切りで

すくうこと。

 


そびえよ、えび天

 

エアー茶碗丼/9

 

ほんのり赤いところや、ひび割れから

えび煎餅を思い出す。

 

そうだ、この岡田裕作「鬼萩茶碗」には、

高々とそびえるエビのテンプラが素晴らしい

えび天丼を盛ってみよう。

 

しっくりするなぁ。

夏、という感じだ。

 

 


チョコレート棒茶会

 

エアー茶碗丼/7

 

兼田昌尚作「茶碗」

(シンプルな作品名。謙虚な陶芸家なのだろう。

いや、頑固なのか)に、

チョコレートの棒を盛ってみた。

これをお茶会に出して、みんなで回してかじれば

楽しかろうと思う。

 

グループでの回し飲みを考え出したのは

千利休だそうだが、そのアイデアの元は、

キリスト教会の儀式とのこと。

説教後、祭壇前で牧師さんがワインを注いだ杯を、

「キリストの血だ」と言って

信者さんたちが回しのみするところを見て、

茶会でやろうと思ったそうだ。

 

チョコレート棒のお茶会も、

利休の大胆なパクリに比べると

おとなしいものだ。

真面目に何百年もやり続ければ、

いろんな小うるさい作法も発達して

きっと厳粛な雰囲気になっていくのだろう。

 

 


頭がキーン

 

エアー茶碗丼/6

 

暑い。まだ7月中旬なのに、

30℃越えというのはやはり異様だ。

 

そこで、三代・徳田八十吉作「耀彩茶碗」に、

富士山状のかき氷を盛ってみた。

青色のシロップは「ブルーハワイ」というやつ。

 

サクサクと霊山を食べつくして「涼」を。

 

 


ピタッと茶漬け

 

エアー茶碗丼/5

 

小川哲男作「粉引茶碗」で、

永谷園のわさび茶漬けを盛ってみた。

白い椀に筆字でちょんと点があるシンプルなデザイン。

この名作も、見事なほど茶漬けとフィットする。

CMに使ってもいいほどだ。

 

同色の牛乳を入れれば、

小さな「牛」になるぞモーッ。

あえて異質なインドカレーを注いで、

白いナンをつけて食べてもうまそうだ。

 


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